大殿筋の付着部(起始と停止)
起始:
後殿筋線から後ろの腸骨、
脊柱起立筋の腱膜、
仙骨後外側、
仙結節靱帯、
尾骨の側面
停止:
上部線維:腸脛靭帯
下部線維:大腿骨殿筋粗面
大殿筋の作用
全体として:
股関節で大腿を伸展、
股関節で大腿を外旋、
股関節で骨盤を後傾、
上部線維の作用:
内転を補助、
上部線維は腸脛靭帯に停止するため、膝伸展位での安定性を助けます。
下部線維の作用:
外転を補助
大殿筋の支配神経と動脈
神経:
下殿神経(L5、S1、S2)
動脈:
上殿動脈、
下殿動脈、
大腿深動脈の第1貫通枝
大殿筋機能障害の影響
大殿筋の筋力低下
両側の大殿筋の筋力が著しく低下すると、歩行が困難になり松葉杖が必要になります。
体幹を大腿骨より後外側に移し、体重を下肢に乗せるような姿勢をとるようになります。
前屈位から体幹を起こすことができません。上肢を使って体幹を押し上げる必要があります。
大殿筋のトリガーポイントと関連痛
●がトリガーポイントの位置、
赤く塗った領域がトリガーポイント関連痛領域です。
大殿筋のトリガーポイントを引き起こす要因
筋肉の酷使(身体を前に傾けて上り坂を歩く、水泳のクロールで泳ぎなどの遠心性収縮)、
大殿筋を長時間伸長させる姿勢(股関節を屈曲したまま眠る)、
長時間の座位(特に財布を後ろポケットに入れている場合)、
外傷、
注射の刺激、
モートン病、
など。
身体への影響
大殿筋のトリガーポイントは、
長時間の座位での静止不能および疼痛、
睡眠困難、
上り坂歩行時の疼痛、
前かがみ時の疼痛、
股関節屈曲制限、
などを引き起こす傾向があります。
鑑別すべき疾患や症状
大殿筋のトリガーポイントは、
仙腸関節機能障害、
腰椎椎間関節症候群、
転子滑液包炎、
尾骨痛、
椎間板による神経圧迫、
などとの鑑別が必要です。