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股関節痛・鼡径部痛


股関節や鼡径部の痛みは、股関節の可動域制限や身体の歪みからくるケースや、何らかの病気が原因の可能性があります。

1. 股関節・鼡径部の痛みの部位と原因

股関節痛・鼡径部痛


1.1 股関節周り前面・後面の痛み

変形性股関節症

股関節の軟骨が薄くなったり骨が変形する病気です。
痛みは大腿や臀部、腰に出ることもあります。
原因が明らかでない一次性と原因が明らかな二次性があります。
二次性の原因には、先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全、化膿性股関節炎、結核性股関節炎、股関節骨折、ペルテス病、大腿骨頭壊死症、大腿骨頭すべり症、関節リウマチ、強直性脊椎炎などがあります。

大腿骨頭壊死症

大腿骨の骨頭部分が壊死し、変形、痛み、可動域制限を起こす病気です。
痛みは大腿や腰に出ることもあります。
原因が明らかでない突発性大腿骨頭壊死症と原因が明らかな症候性大腿骨頭壊死症があります。
症候性大腿骨頭壊死症の原因には、骨折、ダイビングによる血管の空気塞栓、放射線治療などがあります。

股関節炎

股関節の使い過ぎなどで炎症を起こし痛みを生じます。

リウマチ性股関節炎

関節リウマチに伴う関節炎です。

化膿性股関節炎

股関節の関節包内部が細菌に感染して起こります。
大人でもなりますが、免疫力の弱い乳幼児に起こることが多く、乳幼児は股関節の骨や軟骨が未熟なため変形の後遺症が残る可能性が高く緊急に治療を要する病気です。
赤ちゃんが、特に原因がないのに、元気がない、発熱、股関節を動かすと痛がる場合や、幼児なら歩かなくなる、などのそぶりを見せる場合この病気の可能性があります。

臼蓋形成不全

股関節の大腿骨頭を受ける臼蓋(股関節の骨盤側)の出っ張りが少ないなど、大腿骨の荷重を受ける面積が狭い状態です。
荷重を受ける面積が狭いため変形性股関節症をきたすことがあります。

結核性股関節炎

結核菌の感染による関節炎です。
初期段階では診断がつきにくい病気です。

股関節周囲炎

歩いたり、股関節を動かすと股関節周りの筋肉に痛みを生じます。

強直性脊椎炎

筋肉や腱の骨の付着部に炎症が生じて徐々に骨化していく病気で原因は分かっていません。
10代後半から20代の男性に多い病気です。

先天性股関節脱臼

出生前または出生後に大腿骨頭が関節包に包まれたまま脱臼している状態です。
出生後は不適切なおむつの着け方が原因となることが多いです。

一過性大腿骨頭萎縮症

大腿骨頭内の骨髄に浮腫が生じ骨粗しょう症になり痛みを発します。骨折することもあります。

鼡径部痛症候群

キックをするサッカー選手などに多い病気です。
鼡径部中心に内もも、下腹部、臀部などに痛みを生じます。
股関節周りの筋肉の使い過ぎにより、炎症、弱化、拘縮などが起こり生じるといわれています。

大腿骨頭すべり症

10~16歳くらいの肥満男児に多い病気です。
大腿骨頭が骨端線の後方にすべり、痛みを生じ歩き方がおかしくなります。

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1.2 股関節周り前面の痛み

股関節内転筋炎

股関節内転筋(股の内側の筋肉)の炎症です。

股関節インピンジメント

反復動作により関節軟骨や関節唇といった股関節の周辺構造に微細な損傷や変性をきたす疾患で、長時間の歩行や長時間の坐位などによって痛みが強くなります。

大腿臼蓋インピンジメント

大腿骨頸部と臼蓋が繰り返し接触し、関節軟骨や関節唇に微細な損傷や変形が生じる疾患で、活動性が高いスポーツを行う若年者に多い疾患です。
初期は長距離の歩行や運動量の増加で鼠径部や臀部に違和感や痛みを感じます。

鼡径ヘルニア、大腿ヘルニア

腹壁が弱まり腸が飛び出してくる(脱腸)疾患で、立っていきんだときに鼡径部に膨らみが出てきます。

単純性股関節炎

3~12歳の男児に多く、股関節を曲げたり伸ばしたりすると痛がり、跛行(歩くときびっこをひく)をきたします。
最初は膝や大腿を痛がることがあります。

ペルテス病(小児)

幼児期に大腿骨頭の近位骨端核の阻血性壊死をきたす病気です。
股関節の屈曲外転(曲げて開脚)制限と屈曲内旋(曲げて内側に捻る)制限がみられます。
最初は膝を痛がることがあります。

股関節開排制限(小児)

股関節の開だけが制限される病気です。
成長とともに臼蓋形成不全を生じることがあります。

内側型弾発股

大腿骨が内外旋股関節を動かしたとき腸腰筋腱が大腿骨頭の前を横切りコクンと弾ける現象です。

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1.3 股関節外側・大転子外側の痛み

筋炎

股関節外側の中殿筋や大腿筋膜張筋が炎症を起こすことがあります。

石灰沈着性腱炎

股関節周辺の筋肉や腱に石灰(カルシウム)が沈着し、時に激痛で歩行困難になる病気です。

滑液包炎

大転子の外側にある滑液包が機械的な刺激や感染などにより炎症を起こし痛みや腫れを生じます。

外側型弾発股

股関節を動かしたとき大転子と腸脛靭帯がこすれて、股関節の外側がはじけるような引っかかりを生じる現象です。

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2. 身体の歪みと股関節痛、鼡径部痛

身体の歪みや関節包、靭帯、筋肉の緊張、拘縮、弱化などから股関節や鼡径部まわりに痛みを引き起こすことがあります。
同じ症状でも原因が異なったり、同じような歪みがあっても症状が異なったり色々な症状が同時に出たりします。

⇒股関節の整体

2.1 股関節の大腿骨頭変位

大腿骨頭がズレ(変位)ていると股関節の運動軸がずれ筋力の負荷バランスや、寛骨臼の体重がかかる位置も変わってしまうため色々な不具合が出ると考えられます。

股関節の大腿骨頭変位の検査

仰臥位で膝を立て屈曲方向に押し股関節の可動制限、遊び、膝の高さの左右差を確認します。
可動域や膝の高さに左右差があれば大腿骨頭が変位している可能性があります。
※股関節は骨盤や腰椎の歪みの影響を受けますのでこの検査だけで大腿骨頭変位は確定できません。

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2.2 骨盤後傾

骨盤後傾による鼡径部の痛み

骨盤が後傾し股関節が過伸展すると、腸腰筋と腸骨との当りが強くなり強く擦れることで筋炎や鼡径部の滑液包炎を発症する可能性があります。

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2.3 骨盤の側方変位

骨盤の側方変位よる骨盤側方の痛み

骨盤が側方に変位することで、腸脛靭帯が過伸長し炎症を起こしたり、腸脛靭帯と大転子の間にある滑液包が歩行のたびに擦れ外側がはじけるような引っかかり(外側型弾発股)や滑液包炎を発症する可能性があります。

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2.4 股関節関節包や靭帯の拘縮

股関節関節包の拘縮による鼡径部の痛み、股関節の詰まりインピンジメント

股関節関節包や靭帯が拘縮、短縮すると股関節の軸がずれ、股関節の可動域制限や可動最終域での痛み、詰まり感、インピンジメント(骨のぶつかり)を引き起こします。
寛骨臼と大腿骨頭の当りが強くなり軟骨が傷むと変形性股関節症に発展していきます。
関節包が拘縮すると侵害反射が起こり関連する筋が筋攣縮を起こします。

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2.5 股関節関節包が弛緩(関節がゆるい)

股関節関節包の弛緩による鼡径部の痛み、股関節の詰まりインピンジメント、不安定感

股関節関節包やそれを補強する腸骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯などがゆるむと、股関節が不安定になり挟み込みや可動域の拡大と痛み、インピンジメント(骨のぶつかり)を引き起こします。

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2.6 大腿神経圧迫による鼡径部の痛み

股関節関節包の侵害刺激による筋緊張から大腿神経圧迫による鼡径部の痛み

大腿神経は鼡径部で圧迫され神経炎を発症すると鼡径部痛を引き起こします。
座位が多い生活をしていると、腸腰筋などの股関節の屈筋が緊張し大腿神経を圧迫します。
また、股関節関節包の侵害反射により腸腰筋など股関節の屈筋が筋攣縮を起こし大腿神経を圧迫します。

発症

腸腰筋の筋緊張

静脈が圧迫され血流が滞留し腸腰筋が腫れる

腸腰筋と鼡径靭帯の間が狭くなり、そこを通る大腿神経が圧迫される

大腿神経による鼡径部痛を発症

大腿神経が障害されることが侵害刺激となり
永遠と腸腰筋の過緊張~大腿神経による鼡径部痛が続きます。

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2.7 歩行中の脚の付け根の痛み

歩き始め歩行中の脚の付け根の痛み、内側型弾発股

腸腰筋は大腿骨頭が前に飛び出さないように大腿骨頭を押さえつけています。特に歩行中、大腿骨が伸展(後ろにいく)すると大腿骨頭を押さえつける圧が強くなります。
このとき腸腰筋が緊張していたり硬くなっていると、脚の付け根の大腿骨頭のあたりに、引き伸ばされるような痛みがでます。
腸腰筋自体が硬い場合は、歩くことでほぐれるため痛みは歩き始めの数分で治まります。
股関節関節包の侵害反射により腸腰筋が攣縮している場合は、歩行中は痛みが継続します。程度によっては歩行困難になるほど痛みが強くなります。

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2.8 中殿筋の弱化

中殿筋の弱化によるトレンデンブルク、変形性股関節症、大腿骨頸部骨折

中殿筋が弱化すると片脚立ちで骨盤を水平にキープできなくなります。
歩行の際、加重の反対側のお尻が落ちるようになります。これはトレンデレンブルグ歩行といいます。
股関節の接触面積が狭くなり加重に耐えられなくなることで、将来的に変形性股関節症を発症したり、大腿骨頸部にかかる加重の方向が変わることで大腿骨頸部骨折を引き起こす可能性があります。

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3. カクッと膝や股関節の力が抜ける

股関節に付着する腱に過剰な刺激が加わると、不意に膝や股関節がカクッとなって力が抜けることもあります。
身体には、筋肉・腱などに限界を超えるようなストレスがかかると力が抜ける仕組み(自原抑制)があります。
腱が過剰に引っ張られたりすると、その腱につながる筋肉の神経信号が弱くなります。
つまり、力が抜けます。

また、主働筋に力が入ると拮抗筋の力が抜けるような神経の回路があります。
例えば、自然に膝を曲げたり、伸ばしたりする動作のとき、膝を曲げる筋肉(主働筋)に力が入ると、伸ばす筋肉(拮抗筋)の力が抜けるようになっています。
力が抜けないと膝を曲げることも伸ばすこともできません。
神経が何らかにより刺激されて過剰に神経信号が伝われば拮抗筋の力が必要以上に抜けてしまい、カクッとなってしまいます。

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4. トリガーポイントの関連痛

トリガーポイントとは、筋肉の一部が縮んで硬くなった筋硬結で、押すと痛みがあるポイントです。
大殿筋、大腿四頭筋、恥骨筋、大内転筋、長内転筋、腸腰筋、腹斜筋などのトリガーポイントは股関節痛や鼡径部痛を引き起こします。
⇒トリガーポイントの関連痛

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