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恥骨痛の原因と対策


歩くとき恥骨が痛い、
動き始め、ちょっとした拍子に恥骨が痛い、
寝返りをするとき恥骨が痛い、
サッカーでボールを蹴るとき恥骨の右か左が痛い、
開脚すると恥骨が痛い、
重い物を持つとき恥骨が痛い、
内腿で踏ん張ると股間が痛い、
など、
左右の恥骨や恥骨結合の痛みの原因、対策、当院での施術などをご紹介しています。

目次


1. 恥骨痛の原因

恥骨痛の部位と原因

恥骨とは、
骨盤の前下部(股間の前側の骨)をいいます。
恥骨は、左右対になっていて線維軟骨と靭帯により恥骨結合を形成し連結しています。

恥骨、坐骨、腸骨は元々は別の骨ですが、14~16才くらいまでに癒合して、寛骨(かんこつ)骨になります。
図『恥骨、坐骨、腸骨の位置』では色分けしていますが、境目は実際には区別できません。


1.0 恥骨、恥骨結合の構造

恥骨痛、恥骨結合の構造

恥骨結合とは、
左右の恥骨が、硝子軟骨に覆われた恥骨結合面の間に、線維軟骨(恥骨間円板)を挟んで中央で結合した骨盤の前側の連結のことで、
下記の靭帯や腱膜で補強されています。

恥骨結合の上縁は、上恥骨靭帯、
下縁は、恥骨弓靭帯(恥骨下弓靭帯)、
後面は、後靭帯、
前面は、前方の靭帯と、さらにそれを覆うように腹直筋腹横筋錐体筋内腹斜筋長内転筋 からなる腱膜が交叉し補強されいます。

また、恥骨には、恥骨筋短内転筋長内転筋薄筋などの筋肉が付着しています。

これらの、
恥骨結合を構成する靭帯、腱膜、筋膜、筋肉などの組織や、恥骨に付着している筋肉が、過剰な負荷を受けたり、炎症を起こすと、
恥骨痛、恥骨結合炎を発症します。

以下に、部位別に考えられる恥骨痛の原因を挙げています。


1.1 恥骨結合部、恥骨中央の痛み


1.1.1 妊娠、出産による恥骨結合離開

骨盤は妊娠後期、分娩時に生理的に緩くなりますが、恥骨結合軟骨が緩んだ際、その程度が過度であったり、巨大児の出産などで恥骨結合軟骨が損傷を起こしていると、恥骨結合が炎症を起こし痛みを発します。歩行困難となる場合もあります。
仰向けに寝て、恥骨結合部を圧迫すると明らかな痛みがあります。

医療機関での診断は、
医療機関でのレントゲン撮影(立って撮影と寝て撮影)によります。
通常のレントゲン撮影で恥骨結合の離開が認められない場合でも、立って片足を上げた状態でレントゲン撮影すると恥骨結合の離開やズレが認められます。

産後の恥骨結合離開による痛みは、
恥骨結合を骨盤ベルトなどで締め付け圧迫固定し、絶対安静を保つことで通常1~2週間で治ります。

※妊娠から出産にかけて弛緩した骨盤の靭帯は、硬くなるまで出産後約6週間かかります。

いつまでも恥骨結合部の痛みが続く場合、
仙腸関節可動制限や筋の弱化、筋の過緊張などにより、恥骨結合の炎症が継続している可能性があります。


対策1.恥骨結合を締める

出産後は骨盤ベルトやトコちゃんベルト、サラシなどで骨盤を締めるのが基本です。

ベルトをつける期間が重要で、回復しているのにいつまでもベルトで絞めていると、靭帯が弱くなったり、仙腸関節が硬くなり仙腸関節機能障害(仙腸関節可動制限)を発症したりします。
産後、緩んだ靭帯が硬くなるまで約6週間かかります。この間は必ず骨盤ベルトなどで骨盤の特に恥骨結合を締めます。
それ以降は、回復状態や、身体にかかる負荷(重い物を持つ、長時間立っているなど)を考慮して、付ける付けないの判断をするのが大事です。

恥骨結合離開のときの骨盤ベルトを着ける位置

骨盤ベルトは10センチくらいの幅の物が使いやすいです。
着ける位置は、骨盤というよりお尻に巻く感じです。
骨盤の上の方に着けると骨盤の下側が広がってしまい、返って恥骨結合が離開してしまいます。
その状態で靭帯が硬くなると、仙腸関節機能障害を起こし、いつまでも恥骨痛が続きます。
また、キツメのズボンも要注意です。
ウエストが締め付けられると、お尻が広がるか、恥骨結合が離開します。


対策2.立っていると恥骨が痛くなる場合

妊娠中や出産後、立っていると恥骨が痛くなるときの対策

妊娠中や出産後など、立っていると恥骨が痛くなったり、骨盤から太もものあたりがだるくなる場合は、脚を広めに開いて立つと恥骨結合に閉じる圧が掛かり楽になることがあります。
脚を開きすぎると、足首が痛くなりますので、試しながら楽になる角度を見つけましょう。


1.1.2 靭帯や腱膜、筋膜を傷めた

サッカーでボールを蹴ったとき恥骨に痛みが出た、
開脚ストレッチをしてから恥骨が痛い、
恥骨のあたりを打撲した、
腹筋や内転筋の筋トレをやってから痛い、
などがきっかけで恥骨結合が痛い場合、
恥骨結合部の靭帯や腱膜、筋膜などを傷めている可能性があります。

歩けないほど痛い場合や、体勢を変えるのもつらいような強い痛みの場合、念のため整形外科などの医療機関を受診することをお勧めします。


対策.恥骨結合の補強と十分な睡眠

組織が傷んでいる場合、自然に治るのを待つしかありません。
ここでは、早期回復のためにできることをご紹介します。

恥骨結合を補強します。
恥骨結合を骨盤ベルトや骨盤サポーターなどで締め、靭帯や腱膜、筋膜の傷が広がらないように負荷を減らします。
骨盤ベルトや骨盤サポーターは、
付けてみて痛みが和らげば合っていますが、痛みが変わらないか強くなるようでしたら合っていないか付け方が間違っています。
あるいは仙腸関節可動制限など他に原因があるかもしれません。

早期回復を促します。
傷んだ組織は、夜寝ている間(最初の4時間)に成長ホルモンが分泌され回復します。
そのため早期回復には規則正しい生活を送り睡眠を十分とることが大事です。

上記の『1.1.1 妊娠、出産による恥骨結合離開』もご参考にしてください。


1.1.3 仙腸関節の可動制限

下図は歩行時の骨盤の動きをイメージしています。
歩行時、仙腸関節の可動制限(<a href=仙腸関節機能障害)が原因で恥骨結合に恥骨痛" class="resize336-224" width="460" height="307">

出産や外傷などはっはりきたキッカケもなく、恥骨に痛みが出ている場合や、
出産後や外傷(打撲や、スポーツなどで靭帯、腱膜、筋膜を傷めた)後の恥骨の痛みがいつまでも治らない場合、
仙腸関節の可動制限(仙腸関節機能障害)の可能性があります。

仙腸関節が固まって動かなくなる(仙腸関節可動制限)と、
歩行やジョギング、椅子から立つ、寝がえりなど、動作のたびに恥骨結合に大きな負荷がかかり、
恥骨結合部の靭帯や筋膜などが炎症を起こしたり、傷めた組織がいつまでも治らず痛みが続きます。

仙腸関節の可動制限は、骨盤ベルトなどで過度に仙腸関節を締めつけることで発症することもあります。

⇒自分で仙腸関節可動性を検査する方法

仙腸関節可動制限は、程度にもよりますが恥骨結合に痛みがある場合、自分で治すことは難しいです。
仙腸関節の矯正は、治療系(リラクゼーション系でない)の整体院かカイロプラクティック院にご相談することをお勧めします。


1.1.4 中殿筋弱化と腰方形筋の過緊張

歩行時、中殿筋の弱化と腰方形筋の過緊張が原因で恥骨結合離開の恥骨痛

中殿筋が弱化し、腰方形筋が過緊張すると恥骨結合に離開の負荷がかかり、恥骨結合の靭帯や筋膜が炎症を起こすことも考えられます。
また、出産後や外傷後の組織がいつまでも回復しない原因にもなります。


1.1.5 股関節内転筋の過緊張

股関節内転筋による恥骨結合離開の負荷

股関節内転筋の収縮は恥骨結合に離開の負荷がかかります。
恥骨結合が健康な状態なら問題ありませんが、恥骨結合まわりの靭帯や筋膜などが傷んでいると股関節内転筋がその傷んだ靭帯や筋膜を引き伸ばすため、傷んだ組織がいつまでも回復しない原因になります。

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1.2 恥骨の右か左の痛み


1.2.1 股関節内転筋の炎症

恥骨にはいくつかの筋が付着します。それらの筋が使い過ぎなどで炎症を起こすと恥骨の筋付着部に痛みを引き起こすことがあります。

恥骨痛の部位を圧迫すると圧痛があります。
恥骨の左右両側に痛みが出ることもあります。


対策1.内転筋に負荷をかけない

筋肉の炎症は安静にすることで自然に回復します。

痛みがある間は歩幅を狭くして歩く、
ボールを足の外側で蹴るなど少しの幅でも勢いをつけて開脚しない、
股が前後左右になるべく開かないようにする、
ボールを足の内側で蹴るなど勢いをつけて股を閉じるような動作をしない、
揉んだり、グリグリやらない、
など、
内転筋に急な伸長負荷や力が入る動作、炎症が広がるような行為をしないようにしていれば自然に回復します。

もし、
2週間以上回復の兆しがみられない場合、
股関節や仙腸関節など身体の他の部位に問題があるか、
上半身だけの偏った筋トレ、
偏ったストレッチ、
自己流のトレーニング、
生活習慣、
などに問題があるかもしれません。

恥骨まわりの筋付着部位


1.2.2 鼡径ヘルニア

腹壁が弱まり腸が飛び出してくる疾患(脱腸)で、立っていきんだときに鼡径部を触ると膨らみを感じます。
鼡径ヘルニアが疑われる場合、整形外科の受診をお勧めします。


1.3 恥骨の奥の痛み


1.3.1 骨盤内臓器や神経の絞扼

前立腺炎、子宮筋腫、尿道炎、生理痛、閉鎖神経または陰部大腿神経の絞扼などの可能性があります。
病気が原因の可能性もあるため念のため医療機関の受診をお勧めします。


1.3.2 内転筋トリガーポイントの関連痛

恥骨筋や大内転筋のトリガーポイントは、恥骨付近の鼡径部や骨盤内に関連痛を引き起こします。

恥骨筋や大内転筋にトリガーポイントが発症する原因としては、
筋肉の酷使、
長時間の短縮、
体操競技、
乗馬、
長時間脚を組んで座る、
長時間のスキー、
横向きに寝る、
などがあります。

恥骨筋と大内転筋のトリガーポイント関連痛

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2. 恥骨痛を治すための整体

恥骨の痛みが鼡径ヘルニアや病気でない場合、整体の効果が期待できます。
恥骨結合部や内転筋の炎症がなかなか治らないのは、身体の歪みがあり炎症部位に負荷がかかり続けているためと考えられます。
その場合、身体の歪みを取り除くことで、炎症部位が治癒に向かいます。

2.1 恥骨痛の検査

痛む部位や状態に応じて必要な検査をおこないます。

2.1.1 痛む部位の確認

骨格模型で恥骨痛の部位を確認

恥骨の痛い部位を直接触ったり、服を脱ぐことはありません。
痛む部位は骨格模型で確認しますので、恥ずかしいことはありません。

2.1.2 恥骨結合の可動検査

恥骨結合の矯正と可動検査

側臥位で恥骨結合の可動検査を行います。恥骨結合の可動検査と可動性が無い場合の矯正は同じ手技になります。

2.1.3 仙腸関節の可動性検査

仙腸関節可動性検査

座位、立位、仰臥位、伏臥位、側臥位で仙腸関節の可動性検査を行います。

2.1.4 股関節の骨頭変位の検査

股関節の大腿骨頭変位の検査

仰臥位で膝を立て屈曲方向に押し股関節の可動制限、遊び、膝の高さの左右差を確認します。
可動制限のある側が変位している股関節で、膝の高さが高ければ骨頭の前方変位、低ければ骨頭の後方変位の可能性があります。
股関節は骨盤や腰椎の歪みの影響を受けますのでこの検査だけで骨頭変位は確定できません。

2.1.5 関連する筋の圧痛検査

恥骨痛のトリガーポイント検査

恥骨痛に関係する筋の緊張や拘縮を確認します。図の黒点のあたりを押します。

2.1.6 関連する筋の筋力検査

(例)

大腰筋の筋力検査  恥骨筋の筋力検査  中殿筋の筋力検査

筋力検査では力の入り具合や痛みなどを確認します。

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2.2 恥骨痛の整体

※整体施術は六層連動操法、カイロプラクティック、神経筋反射を利用した手技にて行います。
恥骨を揉んだりしません。

矯正技術の詳細は、受講したセミナーの内容を公開してしまうことになるため記述しません。ここでは『どんなことをされるのか?』不安な方のために整体施術の雰囲気と施術理由などをお伝えしています。

恥骨痛の整体は、恥骨結合離開、股関節内転筋炎、トリガーポイントの関連痛など症状に応じて、
仙腸関節の可動性改善、股関節の骨頭変位の矯正、股関節関節包からの侵害反射の解除、腸腰筋中殿筋腰方形筋、股関節内転筋群などの弛緩または筋力向上などを行います。

仙腸関節の矯正

左右の寛骨は恥骨結合と仙腸関節でつながっています。
恥骨結合離開がいつまでも治らない場合、骨盤の後ろにある仙腸関節が楔のようになり前側の恥骨結合を開いていることが考えられます。

恥骨結合離開が考えられる場合、回復するまで骨盤ベルトやトコちゃんベルトなどで恥骨結合を支える必要もあります。

股関節の矯正

股関節の骨頭がずれることで股関節を動かす筋に余計な負荷がかかり炎症をおこしたり、体重が本来と異なる部位にかかり予想できない障害を起こすことも考えられます。

恥骨筋の弛緩

股関節内転筋が拘縮することでその筋自体が炎症をおこしたり、協力筋や拮抗筋に余計な負荷がかかり障害を起こすことが考えられます。
また、股関節内転筋が緊張するか外転筋が弱化すると、立位など脚が固定される体勢では恥骨結合を開くテンションがかかります。

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