ほとんどの猫背は自分で治すことができます。
このページでは、
猫背が気になるけど、整体やパーソナルトレーナー、ジム、姿勢教室などに通うのはおっくうだし、矯正は怖い、自分で治したい、という人のために、猫背を自分で治す方法を具体的にご紹介しています。
その前に、自分で猫背矯正に取り組むメリットとデメリットを上げておきます。
デメリットを意識することで、より正しく続けられると思います。
自分で猫背を治すメリットとデメリット
メリット
- 整体やジムに通う煩わしさがない
- 時間が有効に使える
- お金がかからない
- 日ごろの姿勢に意識がいく
- 姿勢や身体について理解が深まる
デメリット
- 姿勢が良くなるまで時間がかかる
- 姿勢や身体について学習が必要
- 身体を痛める可能性がある
- やり方が間違っていたら意味がない
- その日の気分でサボリそう
- 効果が見えないと続かない
ここから実践です
猫背には骨盤後傾タイプと、骨盤前傾タイプの猫背があります。
自分がどちらの猫背タイプかを知って、タイプに合ったエクササイズを行います。
猫背のタイプを知る
まず、自分がどちらのタイプの猫背か判定します。
明らかに、
腰が反っていたら、骨盤前傾タイプ、
腰が丸くなっていたら、骨盤後傾タイプ、
と判断できますが、
骨盤の傾きを自覚するためにも自分で確認してみてください。
大きい鏡の横に立ちます。
左右どちらかのASIS(骨盤上前左右の出っ張り)と恥骨(骨盤下中央の硬い部位)に指先を当てます。
鏡を見て『ASISと恥骨のどちらが前に出ているか』左右の指の位置で、判断します。
自分がどちらのタイプの猫背か分かったらタイプに応じたエクササイズを行います。
骨盤前傾タイプの猫背
ASISが前に出ていたら骨盤は前傾しています。
⇒骨盤前傾タイプの猫背
骨盤後傾タイプの猫背
恥骨が前に出ていたら骨盤は後傾しています。
⇒骨盤後傾タイプの猫背
骨盤の傾きがない場合
ASISと恥骨が同じ位置の場合は骨盤の傾きはありません。
背中と首のエクササイズのみ行います。
また、猫背矯正ベルトのような矯正器具でも効果があるかもしれません。
エクササイズの順番
土台となる骨盤や腰が傾いた状態で、背中や首だけ正そうとしても無理があります。
そのため、
エクササイズを行う順番は、
骨盤
↓
腰
↓
背中
↓
首
の順に下から上へ行います。
筋肉と姿勢の関係などは、猫背矯正・姿勢矯正のページで図説しています。そちらをご覧頂くとより理解が深まると思います。
猫背の骨盤と腰を治すエクササイズ
猫背のタイプに応じたエクササイズを行います。
もし、骨盤の傾きがない場合は、
背中と首のエクササイズのみ行うか、
骨盤前傾と骨盤後傾の両タイプのエクササイズを行います。
骨盤前傾タイプの猫背
骨盤の前傾を治すストレッチ
腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)や大腿直筋など股関節屈筋をストレッチします。
これらの筋肉が短縮すると骨盤が前傾します。
大腰筋はへその奥の背骨から始まります。また、大腿直筋は骨盤のASISのすぐ下のAIISから膝下まで続く大腿前側の筋です。
脚(鼡径部)から膝までをストレッチするイメージで行います。
猫背の反り腰を治すエクササイズ
腹筋を使って、反った腰を伸ばします。
これは、
多裂筋など腰を反らす筋肉のストレッチと、弱った腹筋を鍛える効果があります。
腹筋が弱ると骨盤の前が下がり前傾します。
硬い床に、頭の後ろで手を組み仰向けに寝ます。
腹筋(腹直筋、内外腹斜筋)を使って腰が床にペタッと着くように平坦にします。
深呼吸をしてこの体勢を数秒維持しその後リラックスします。
骨盤後傾タイプの猫背
骨盤の後傾を治すストレッチ
大腿の裏のハムストリングスをストレッチします。
これらの筋肉が短縮すると骨盤が後傾します。
股関節を軸に骨盤を前に傾けます。腿の裏を伸ばします。
体幹が曲がると骨盤が前に回転しませんので腿の裏にテンションが掛かっているか確かめながら行います。
猫背の腰椎後弯を治すストレッチ
腹筋が短縮すると骨盤の前が持ち上がり骨盤後傾になります。
そのため腹筋を伸ばしてストレッチします。
また、腰の後ろ側が伸びているのを縮めます。
へそから下肢は床に付けたまま、上体を起こします。
腹筋を伸ばして、腰椎の前側を上下に広げ腰椎の後ろ側を上下に閉じるイメージで行います。
猫背の背中を治すエクササイズ
背中が上下に伸びているのを縮め、胸が上下に縮んでいるのを伸ばします。
下図のような体勢をとり後弯を正します。
猫背だと肩甲骨が前傾しています。前傾した肩甲骨を後下方向に押し戻すイメージで背中を上下に縮めます。
広背筋や大胸筋、小胸筋といった肩や胸の筋肉をストレッチします。
無理にやると肩や鎖骨を傷める可能性がありますので無理はしないでください。
猫背の首を治すエクササイズ
猫背の人は、首の弯曲が無くなり、頭と首の付け根で頭が後ろに傾くタイプのストレートネックになっているのが特徴です。
真直ぐ首が伸びてアゴが上がった形です。
そのため、猫背の人が背筋を真直ぐに伸ばすと顔がやや上を向きます。
猫背のストレートネックを自分で治すには、
座位か立位で、アゴを引いて頭が背骨の上に乗るように、頭を後ろに移動します。
こうすることで、後頭下筋群がストレッチされ、頭と首の付け根で頭が正常位置に戻り、首の反りも出てきます。
首が真直ぐになっているので、上を向いたり頭を後ろに倒せば治りそうですが、上を向くと頭が後ろに余計傾くため返って悪化します。
※もし、楽にアゴを引けたり、ストレートネックではなさそうでしたら、このエクササイズはやらないでください。
特に、骨盤前傾タイプの猫背の方はストレートネックでない可能性もあります。
ストレッチを行う場合の注意
ストレッチを行う場合はやりすぎや運動前は行わないほうが良いです。
ストレッチは30秒を数セット深呼吸しながら行います。
ストレッチ(静的ストレッチ)は筋や腱、靭帯、筋膜などの組織を多少壊します。壊れた組織が元より良い状態で回復します。ですので、運動前に行うとパフォーマンスが落ちます。やりすぎるとだるくなったりすることもあります。
日常で心がけること
悪い姿勢や良い姿勢でも同じ姿勢を長時間とっていると身体が歪み、関節や筋肉に癖がつきます。できるだけまめにラジオ体操などを行ってほぐすと良いです。
また、良い姿勢のクセをつけるには、
立位や歩行時に、常に頭を高い位置に持ち上げるという意識が大事です。
そうすることで自然と身体が伸び良い姿勢のクセがついてきます。このとき、アゴが上がらないように目線を真直ぐにします。
家の中では、頭の上に本などを乗せて歩く練習をすると良いです。