大胸筋の付着部(起始と停止)
起始:
鎖骨の内側半分、
胸骨、
第1~6または7肋骨の肋軟骨、
外腹斜筋の腱膜
停止:
上腕骨大結節稜
大胸筋の作用
大胸筋全体として:
肩関節で上腕を内転、
肩関節で上腕を内旋、
肩関節で上腕を水平屈曲、
肩甲胸郭結合で肩甲骨を外転
上部線維(鎖骨部)の作用:
肩関節で上腕を屈曲、
下部線維(胸骨部、肋骨部)の作用:
肩関節で上腕を伸展する (屈曲から戻す)、
肩甲胸郭結合で肩甲骨を下制
大胸筋の支配神経と動脈
神経:
上部線維(鎖骨部):
外側胸筋神経(C5、C6、C7)
下部線維(胸骨部、肋骨部):
外側と内側胸筋神経(C6、C7、C8、T1)
動脈:
胸肩峰動脈の胸筋枝、
内胸動脈貫通枝
大胸筋のトリガーポイントと関連痛
●がトリガーポイントの位置、
赤く塗った領域がトリガーポイント関連痛領域です。
大胸筋のトリガーポイントを引き起こす要因
筋肉の酷使、
身体の前で物を持ち上げることを繰り返す、
肩関節で上腕の内転を繰り返す、
筋肉を長時間短縮する姿勢、
肩を丸める姿勢、
吊り包帯やギブスの使用、
肩を外転したまま(片手をバンザイした状態)下にして横向きに眠る、
杖の使用、
きついブラジャーの紐で筋肉を圧迫、
心筋梗塞、
長期間腕を固定、
など。
身体への影響
大胸筋のトリガーポイントは、
肋鎖症候群、
肩関節で上腕の外転および水平伸展の制限、
肩甲胸郭結合で肩甲骨の後退の制限、
疼痛による睡眠困難、
乳房痛または乳房腫脹、
右側の第5肋骨と第6肋骨の間にあるトリガーポイントは不整脈の発生に関わる、
などを引き起こす傾向があります。
鑑別すべき疾患や症状
大胸筋のトリガーポイントは、
頸部椎間板症候群、
狭心症、
心筋梗塞、
肋軟骨炎、
裂孔ヘルニア、
上腕二頭筋腱炎、
棘上筋腱炎、
肩関節滑液包炎、
内側上顆炎、
筋肉の断裂、
などとの鑑別が必要です。