主訴
腰から尻、大腿後ろ、下腿後ろ外側が常に痛い。
身体がほとんど曲がらない。
寝るのも辛い。
60歳代、男性。
問診
痛む部位は?
腰から尻、大腿後ろ、下腿後ろ外側まで繋がっている感じ。
痛みの種類は?
腰は鈍痛。
尻から下腿までは神経痛みたいなビリビリする痛み。
いつから?きっかけは?
ここ数か月?。
仕事で無理な体勢を長時間とることが多いから?
いつのまにか痛くなった。
痛むタイミングは?
強弱はあるが常に痛みはある。
身体を捻る動作は痛みが強い。
楽な体勢がない。
痛み以外で日常困ることはありますか?
身体が曲がらなくてトイレでお尻を拭くのに難儀する。
評価
立位で、
後屈しようとすると痛みが強くなる。
痛みと制限で体幹の回旋がほとんどできない。
仰臥位で、
両膝を立て横に倒す動作で制限と反対側の腰の痛みが強くなる。
仙腸関節の可動性検査
立位、
両前後方向可動制限あり。
座位、
両側可動制限あり。
脊柱の可動性と筋の張り
伏臥位での脊柱可動性検査、
脊柱全体的にほとんど可動性がない。
胸郭も柔軟性がない。
腰方形筋の張りが強い。
施術
六層連動操法
仙腸関節、
腰仙部、
肋椎関節、
胸肋関節、
肋骨間、
胸椎椎間関節、
を一通り施術した。
施術後評価
全体的に痛みは和らいだが、痛み自体はまだある。
後屈時の痛みは改善した。
体幹の回旋も少し改善した。
仰臥位で、
両膝を立て横に倒す動作で出た反対側の腰の痛みと制限は少し改善した。
3日後(2回目)。
前回の夜痛みが強くなった。
その翌日から少し楽になってきた。
初回と同じように一通り施術した。
3~4日間隔で3~6回目の施術を行った。
回を追うごとに痛みは軽減し体幹の回旋可動域も広がった。
腰の痛みは動作時にまだ出る。
尻から下肢の神経痛は出なくなった。
仙腸関節、腰仙部、肋椎関節、胸肋関節、肋骨間、胸椎椎間関節、を一通り調整した。
4日後(7回目)。
痛みはほとんど出なくなった。
トイレでお尻を拭くのも楽になった。
考察
仙腸関節、腰椎椎間関節、胸椎椎間関節、胸郭全体が、とにかく硬かった。
腰の痛みは、脊柱起立筋と腰方形筋などが硬くなり血流が滞り、ブラジキニン(痛みを引き起こす化学物質で血管拡張作用がある)が分泌され滞留することによる痛みと考えられる。
尻から下腿の痛みは、筋が張り坐骨神経を刺激していたことによる坐骨神経痛と考えられる。
両側の膝下まで痛みがあったため腰椎椎間板ヘルニアとは考えにくい。
施術初回の夜、痛みが強くなったのは、骨盤まわりを施術したことで、元々炎症を起こしていた坐骨神経の炎症が一時的に悪化したことによると思われる。