膝の痛みといっても、階段の上り下りが辛い、歩き始め、長時間の歩行、椅子から立ち上がるとき膝が痛い、膝を曲げると痛い、正座ができない、膝を伸ばすと痛い、膝が伸びきらないなど 、
痛くなる動作やタイミングは色々です。
また、膝のどこが痛くなるのかも、前側、外側、内側、膝裏、全体など色々です。
当院では、お一人おひとり、痛む部位や痛くなる動作、姿勢などから膝痛の原因を考察し調整します。
膝自体の可動制限からくる痛みもあれば、姿勢が悪いため膝に過剰に負荷がかかり痛みを発しているなど膝自体は問題ないこともあります。
膝の痛みの原因や主に痛みを発する組織などを以下に記載します。
膝の痛みの原因
膝痛の原因として、
膝関節の屈曲や伸展の制限、捻れ、内反(О脚)、外反(X脚)、膝関節周りの組織の癒着や滑走障害、擦れによる摩擦など、膝自体に問題がある場合と、
股関節の内転外転(骨盤の傾き)や捻れ、足首の捻れなど、膝以外の部位からの影響などが考えられます。
膝関節や膝回りの組織に牽引、圧迫、摩擦など、負荷が過剰にかかることが痛みの原因になります。
変形性膝関節症など膝関節が変形した場合でも、痛みがある人と痛みが無い人がいます。軟骨や骨の変形が膝関節の動きにどのような影響を与えるかで痛みの出方は変わります。
身体の歪みからくる膝の痛み
例えば、腰が丸くなると骨盤が後ろに傾き、大腿が前に出て膝が曲がり、脚を真直ぐ伸ばせなくなります。
立位や歩行の際、常に膝に負担がかかり痛みを引き起こします。
外傷を除いて、ほとんどの膝の痛みは、こういった身体の歪みが膝に無理をかけていることが原因と考えられます。
膝の痛みの部位と組織
膝前の痛み
膝前の痛みを発する主な組織は、
膝蓋上嚢、膝蓋下脂肪体、膝蓋腱、伏在神経などです。
膝裏の痛み
膝裏膝後ろの痛みを発する主な組織は、
膝窩筋、内側半月板および外側半月板の後部などです。
膝外側の痛み
膝外側の痛みを発する主な組織は、
腸脛靭帯、外側半月板、膝蓋下脂肪体、膝窩筋の起始部などです。
膝内側の痛み
膝内側の痛みを発する主な組織は、
鵞足、内側側副靭帯、半膜様筋、内側半月板、膝蓋下脂肪体、伏在神経などです。
膝の痛みの組織
膝蓋上嚢
膝蓋上嚢と前大腿脂肪体との間に癒着や滑走障害があると膝前上部に痛みが出ます。
また、膝関節の屈曲伸展制限の原因にもなります。
膝蓋下脂肪体
膝蓋下脂肪体は、膝関節を屈伸するとき関節の中で移動しますが、外傷や機械的な刺激により線維化して流動性が失われたり、膝関節の捻れにより移動する通路が狭くなると、移動時の摩擦負荷が大きくなり痛みを発するようになります。
膝蓋腱
大腿直筋が硬くなっていたり、大腿四頭筋の滑走性が悪いと膝蓋腱に伸長負荷がかかり膝前下部に痛みが出ます。
半月板
膝関節に可動制限があると、半月板と周辺組織との滑走障害による痛みが出ます。
外傷による損傷がある場合で、引っ掛かり感があったり、腫れが続いていたり、一度良くなってもすぐに戻る場合などは手術が適用になる可能性が高くなります。
鵞足、鵞足炎
大腿骨に対し下腿が過外旋(外側に捻れすぎ)している状態で、膝の曲げ伸ばしを繰り返すと鵞足部に継続的に摩擦負荷や伸長負荷がかかり鵞足炎を起こし膝内側に痛みが出ます。
半膜様筋
半膜様筋と腓腹筋は筋膜の繋がりがあります。この部位の滑走性が低下していると、屈伸を繰り返すことで擦れ炎症を起こしたり、膝関節を伸展した際に膝下内側やや後面に痛みが出ます。
また、大腿骨に対し下腿が過外旋していると腓腹筋との摩擦負荷が強くなります。
腸脛靭帯、腸脛靭帯炎
腸脛靭帯の伸張性の低下、腸脛靭帯と外果(大腿骨の膝外側の出っ張り)との滑走性低下、身体の重心や骨盤が外側に変位して腸脛靭帯に牽引負荷がかかるなどにより、炎症を起こし膝外側に痛みが出ます。
内側側副靭帯
内側側副靭帯と周辺組織が癒着していると滑走障害の痛みがでます。
また、大腿骨に対し下腿が過外旋していたり外反(X脚)の負荷がかかると内側側副靭帯に伸長負荷がかかり膝内側に痛みが出ます。
膝窩筋
大腿骨に対し下腿が後ろにずれていたり、膝を曲げるとき脛骨に内旋制限があると、膝窩筋に伸長負荷がかかり膝後面や膝外側に痛みが出ます。
伏在神経
伏在神経は、内転筋腱裂孔や縫工筋の下を通っているため内転筋や縫工筋の過緊張により絞扼(締め付け)されたり、筋膜と皮膚の間で癒着し滑走障害を起こすと、伏在神経の知覚領域である膝下前内側に痛みが出ます。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り膝関節が変形した状態です。膝関節が変形した人でも、痛みがある人と痛みが無い人がいます。
体勢によっては痛みが出ないことから、膝の軟骨がすり減ったことより、変形したことで可動制限や下腿の過外旋、伸長負荷が膝回りの組織に過剰にかかり痛みを引き起こしていると考えられます。