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ストレイン・アンド・カウンターストレイン

ストレイン・アンド・カウンターストレインとはオステオパシーのテクニックのひとつで、ローレンス H.ジョーンズ DOにより開発されました。

関節機能障害の痛みは、固有受容器筋紡錘)が異常なストレイン(緊張)信号を発信しているのが原因であると考え、『固有受容器の異常なストレイン信号を取り除く』テクニックです。

簡単に言うと、筋肉内にある、筋肉の伸び具合をみているセンサーが狂って過敏になってしまっていて、それを正常に戻すテクニックといえます。

例えば、肘の曲げ伸ばしをする際、
肘を伸ばすとき、主に上腕三頭筋が収縮し上腕二頭筋が伸ばされます。
このとき、上腕二頭筋が5割しか伸ばされていないのに、『10割まで伸びている』という信号を筋紡錘が発してしまうようなことです。

限界を超えた神経信号は痛みとして感じます。

施術方法は圧痛部位を探し、圧痛が消えるポーズを90秒とらせ、他動的にゆっくりとニュートラルの位置に戻す。
というもので非常にソフトなテクニックです。

ストレイン・アンド・カウンターストレインの始まり

以下【】内、 『Dr.ジョーンズのストレイン-カウンターストレイン』、ローレンス H.ジョーンズ,D.O ランダル クスノセ,P.T. エドワード ゲーリング,D.O. 著、太田 陽太郎 訳、日本オステオパシー学会 発行より引用。

【・・・ただ患者がよく眠れるように、一緒になって、らくな姿勢を探しただけなのである。その驚異的な効果に、患者より私のほうが驚いた。・・・

患者は30才の健康的な男性で、4ヵ月間もひどい腰痛に悩まされていた。その3分の1が、わたしが治療した期間である。・・・うまくゆかず匙を投げる寸前だった。

患者は自分からこう切り出した。「たぶん、夜よく眠れれば先生の治療が効くようになると思います。毎晩、15分おきに目がさめてしまうのです。その度に、らくな姿勢をさがすのです。」このとき、わたしは、藁をもつかむ思いだった。・・・

わたしは、こういう患者が簡単に睡眠薬のとりこになってしまうのをよく知っていた。腰痛の上に睡眠薬中毒という問題を抱えてしまうのだ。だから、よく眠れるように、いちばんらくな姿勢を探すのを手伝ったのである。

まず患者をベッドに寝かし、いろいろな方向に動かしながら、痛みが強くなるか軽くなるかを聞いた。20分ほどやっていると、やっとらくな姿勢が見つかった。そのとき患者はひどく不格好で、見るからに窮屈そうだった。しかし、本人はその姿勢がいちばんらくだという。この4ヵ月の治療のなかで、いちばん気持ちがいいというのだ。せっかく、らくな姿勢が見つかったのだから、すぐ痛い姿勢に戻すにはしのびない。そこで、わたしは患者のからだを椅子やクッションで支え、しばらくそのまま快感を味わっているように言った。そして、もう一人の患者の治療に向かった。

わたしが戻ってくると、患者はまだ気持ちがいいという。そこで、夜どうやってこの姿勢をつくったらいいかを、ふたりで話し合った。

それから患者にベッドを降りるように言った。すると、痛みがないと言う!患者は4ヵ月ぶりに真っ直ぐに立つことができたのだ。わたしも患者も大喜びである。だが、わたしはむしろ唖然として、ものが言えなかった。・・・】

これ以降、Dr.ジョーンズは、色々な患者に応用し失敗と成功を繰り返し、『ストレイン・アンド・カウンターストレイン』という治療法を確立していきました。

オステオパシー業界にあってはこの『ストレイン・アンド・カウンターストレイン』は、今や欠くことのできないテクニックとなっています。