主訴
70歳代、女性。
問診
痛む部位は?
背中中央から骨盤にかけて。
痛みの種類は?
鈍痛たまにズキンとする痛み。
いつから?きっかけは?
昨日から。
一昨日、一日中歩き回って疲れたから?
痛むタイミングは?
常に鈍痛がある。
不意な動作でズキンとする痛みが出る。
評価
動作での痛み確認
立位で、
後屈すると少し痛みが強くなる。
仙腸関節の可動性検査
立位、
両側仙腸関節可動性なし。
座位、
両側仙腸関節可動性なし。
上部胸椎の可動性
座位、
首の前傾と後傾で上部胸椎右側の可動性なし。
股関節の可動性
SLR、内転、外転、回旋、可動域は標準くらい。
側臥位での股関節屈曲、
両側とも膝が胸につく。
側臥位での股関節外転、
可動性は標準よりある。
左右を比較すると右側がやや制限あり。
脊柱の可動性
伏臥位での脊柱可動性検査、
腰椎は可動性があり。
胸椎と胸郭全体はほとんど可動性がない。
腰部の多裂筋は、触った感触では緊張していなかった。
施術
六層連動操法
肋椎関節、
胸肋関節、
肋骨間、
胸椎椎間関節全体(クロックダイヤルリリース)、
ディープフロントラインの体幹部を内転筋から緩めた。
施術後評価
仙腸関節は直接施術していないが、立位と座位の検査で可動性を確認した。
胸椎と胸郭は全体的には可動性が出た。
まだ、部分的に上下の肋骨間で可動域にバラツキがある。
立位での、
後屈で強くなった痛みは出なくなった。
上下の肋骨間の可動域がまだ十分ではないが、施術時間の関係と胸郭全体としては可動性が出てきているため、これで様子をみてもらう。
考察
胸郭の可動性がなかった分、腰回りに過負荷がかかり腰回りの筋肉が緊張し痛みを発していたと思われる。
実際、仙腸関節や股関節、腰椎椎間関節など腰回りは施術していないが可動性も症状も改善した。
痛みは筋肉の緊張から血流が悪くなりブラジキニン(痛みを引き起こす化学物質で血管拡張作用がある)が分泌されることによると思われる。