胸郭出口症候群とは、胸郭出口における神経や血管の圧迫に基づく一連の症候群をいいます。
胸郭出口は第1肋骨、鎖骨、前斜角筋などによって構成され、この部を通る鎖骨下動静脈や神経が圧迫されることがあり、
頚肋があると特に発症しやすいとされています。
圧迫部位が特定される場合は、頚肋症候群、肋鎖症候群、斜角筋症候群と呼ばれることがあります。
胸郭出口症候群の主な症状
肩こり、肩から上肢のしびれ、痛み、だるさ、易疲労性。
鎖骨下動脈の圧迫が持続すると血管の攣縮を引き起こし、皮膚の蒼白、冷感などレイノー現象が発生します。
頚肋症候群
頚肋とは、第7頚椎にしばしば存在する不完全な肋骨のことです。
頚肋が腕神経叢や鎖骨下動脈を圧迫して、肩甲部のいたみ、上肢のしびれ、痛み、だるさなどの症状を起こすことがあります。
この頚肋に起因する症候群を頚肋症候群といいます。
肋鎖症候群
肋鎖症候群とは、第1肋骨と鎖骨の間で神経・血管が圧迫されるために起こる症候群です。
症状は、肩こり、肩甲部の痛み、上肢のしびれ、だるさ、痛みなどで、
神経症状は、比較的下位の神経幹が圧迫されることが多いため、上腕内側、前腕、手部尺側(小指側)に出やすいです。
斜角筋症候群
斜角筋症候群とは、前斜角筋、中斜角筋および第1肋骨で形成される斜角筋三角部において、神経や鎖骨下動脈が圧迫されるために起こる症候群です。
症状は、肩から上肢の痛みやしびれが多く、他に知覚異常、筋力低下、上肢の血行障害などです。
前斜角筋を緊張させるような動作で増強します。
筋力低下や筋委縮は主に手の小筋群にみられ、血行障害は上肢の脈拍の減弱、皮膚温低下、血圧の低下、チアノーゼ、レイノー現象などを起こします。