鼡径部の位置
鼡径部(そけい部)とは、脚の付け根の前側を指します。
奥には股関節があります。
鼡径部の痛みに関係する組織
※図 ネッター解剖学図譜(丸善 株式会社、相磯貞和 著)の『鼠径靭帯と腸腰筋』と『腸腰筋』より
脚の付け根には、骨盤の恥骨・恥骨結節から腸骨・上前腸骨棘に鼡径靭帯という靭帯が張っています。
この鼡径靭帯の奥には、腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)・大腿動脈・大腿静脈・リンパ管・大腿神経・外側大腿皮神経などが通っています。
鼡径靭帯には、腹筋の筋膜や大腿の筋膜が付着します。
動作時の鼡径部の痛み
動作時、鼡径部(脚の付け根の前側)にズキンとした痛みがでる、押すと痛い、張ってる感じの痛みがある。など。
骨盤や背骨が歪むと、腹筋や大腿の筋膜が緊張し鼡径靭帯に負荷がかかったり、腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)が引っ張られて無理がかかり、突っ張るような痛みがでることも考えられます。
腸腰筋の特に大腰筋は、腰椎が後湾していると張りやすい状態となり、座りっぱなしで脚を曲げた状態(股関節を曲げた状態)が続くと縮んで硬くなって、左右どちらかの下腹部から鼡径部にかけて、つれるような痛みがでることがあります。
また、股関節がスムーズに動かなくなることもあります。
トリガーポイントの関連痛
トリガーポイントとは、筋肉の一部が縮んで硬くなった筋硬結で、押すと痛みがあるポイントです。
鼡径部にトリガーポイント関連痛を引き起こす筋肉について、以下に記載します。
ここでご紹介する、トリガーポイントの情報は『筋骨格系の触診マニュアル第2版、株式会社ガイアブックス』を参考にしましたが、書籍によって関連痛の部位が多少違います。目安程度にお考えください。
各図で、赤く塗ったエリアがトリガーポイント関連痛領域です。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋からなります。
図の左(前から見た図)は、大腿直筋、内側広筋、中間広筋の、
図の右(横から見た図)は、外側広筋の関連痛領域を示しています。
※中間広筋は、内側広筋と外側広筋の間、大腿直筋の裏にあります。図には描いていません。
恥骨筋
恥骨筋のトリガーポイントは、
鼡径部の深部に鈍痛を引き起こす傾向があります。
変形性股関節症と診断されることがあります。
また、変形性股関節症を引き起こす場合もあります。
外腹斜筋および内腹斜筋
腹斜筋のトリガーポイントは、
そけい部に疼痛を引き起こす傾向があります。
大内転筋
大内転筋のトリガーポイントは、
鼡径ヘルニアと診断されることがあります。
長内転筋
長内転筋のトリガーポイントは、
鼡径部痛の主な原因となり、股関節の外転(開脚)を制限します。
変形性股関節症、鼡径ヘルニアと診断されることがあります。